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今年(2020年)はコロナウイルスの影響で中止となりました。

テニスの四大大会を「グランドスラム」とも呼びますが、

  • 5月の終わりから全仏オープン
  • 6月の終わりからウィンブルドン大会(全米オープン)

と立て続けて開催されるのでテニスファンにとっては1年でも最もワクワクする時期ではないでしょうか?

そしてウィンブルドン大会は多くのプロテニスプレーヤーが一番優勝したい大会に挙げますが、単に伝統があるというだけでなく独特のルールもあります。

今回はウィンブルドンの歴史と特徴を中心に紹介します。

ウィンブルドン大会の歴史と特徴!独自のルールとは?

2020年のウィンブルドン大会6月29日(月)~7月12日(まで開催され、場所はロンドン郊外のウインブルドンで行われますが、その歴史はとても古く1877年(明治10年)にさかのぼります。

ウィンブルドン選手権は世界最古のテニストーナメントで、もちろんグランドスラムのなかで最も歴史がある大会でるとともに「一番格式が高い大会」です。

そしt、それだけではなく、他のグランドスラムとは違う特徴がいくつかあります。

①グランドスラム唯一の天然芝(グラス)コート

ウィンブルドンの特徴として挙げられるのがグランドスラムの大会で唯一グラス(天然芝)コートで試合が行われる大会です。

グラスコートはバウンドしたボールが低く滑り球足が速いためショットが決まりやすく、球足が遅い特徴があるクレーコート(土のコート)全仏オープンのようにラリー戦にはなりにくいです。

そのためストローク戦が得意な選手には不利でビッグサーバーの選手の方が有利と言われています。ランキングが低くてもビッグサーバーの選手が番狂わせを起こすことも他の大会よりも多いです。

②ウィンブルドンは大会の運営先が違う?

ウィンブルドン大会は他のグランドスラムの3大会と運営先が違います。「4大大会は全部一緒じゃないの?」と思う方もいるかもしれませんが

ウィンブルドン以外の3大会(全米、全仏、全豪)はITF(インターナショナル・テニス・フェデレーション)が運営しています。

一方、ウィンブルドン大会ウィンブルドンにあるローン・テニスクラブが運営しているのです。そのため「ウィンブルドンだけは別格!」と言われていて、他のグランドスラムにはない独自のルールがいくつかあります。

③白を基調としたウェア

伝統と格式を重んじるウィンブルドンは試合中だけではなく、練習の際にも白いウェアはもちろん、帽子リストバンドソックスシューズ白に統一することを義務付けています。

そして実はこれだけでなく、下着にも及び、以前ユージェニー・プシャー選手が黒い下着を着用したところ規則違反と指摘されたこともあります。かなり徹底しているどころか、少し異常だと感じでしまうところもあります。

実際にこのホワイトルールに関してはロジャー・フェデラーなど多くの選手が苦言を呈しているほどです。

④ミドルサンデー

「開催期間中の第1週と第2週の中間に位置する日曜日ミドル・サンデーと呼びこの日を休養日として設けています。ただし、この時期のウィンブルドンは雨が降りやすく中断が多いため、日程の消化不良が深刻化した1991年、1997年、2004年とミドルサンデーに試合が行われました。

その後雨でも試合が中断しないようにと2009年にはセンターコートに引き込み式の屋根が設置され、雨の時には屋根が締まります。そして2019年からは1番コートも屋根が設置されました。

ただ、この2つのコート以外は照明設備もないので度々降雨のための中断、日没サスペンデットとなる場合があります。2016年大会も天候が悪く12年振りにミドルサンデーに試合がありました。

⑤独自のシード順位を採用

4大大会の他の3つはランキングをもとにシード順位をを決めていますが、ウィンブルドンだけは過去の実績を加味した独自のシード順位を採用しています。

ランキングポイント過去一年の総芝ポイントそのまえ1年間の芝で最も高いポイントの75%です。(といってもよくわかりませんね)このため他の大会よりもランキング通りではないシード順位の場合もあります。

⑥ 更衣室がランク分け

ウィンブルドンは更衣室が3つにランク分けされていて、

  • シード選手はNo.1のロッカールーム
  • シード選手より下から100番くらいまでがNo.2
  • それ以下の選手はNo.3

という決まりがあります。もちろんNo.1が一番立派なロッカールームです。

⑦ラストエイトクラブ

ウィンブルドンでベスト8に入ると「今後ウィンブルドン大会に行った際に席を用意してもらえる」というサービスが一生保証される権利です。

ここ最近では

  • 女子がクルム伊達公子選手ベスト4
  • 男子では松岡修三さんがベスト8
  • 最近では錦織圭選手が2018年にベスト8

という実績があり、ラストエイトクラブのメンバーです。松岡さんは今ではバラエティー番組の人みたいな感じでテレビに出ていますが、本当にスゴイテニスプレイヤーです!

このようにウィンブルドン独自のルールがあるというのが面白いところです。

グランドスラムが他の大会よりも過酷な理由

ウィンブルドンを含めてグランドスラム大会の男子は5セットマッチです。(他の大会は3セットマッチ)

これだけでも他の大会よりも体力的にきついですが、それにプラスしてファイナルセットにタイブレークが採用されず、「アドバンテージセット」といって、2ゲーム差をつけないと勝利にならないルールがあり、時には超ロングマッチになることがあります。

昨年(2018年)までは全米オープンだけは1970年からファイナルセットにもタイブレークを採用していました。

※タイブレークとは 通常の大会はファイナルセットで6-6の 場合は次のゲームを12ポイント制でスタートし ① 2ポイント差をつけて7ポイントを先取 ② 6ポイント同士になってから2ポイント連続で先取 これにより、そのセットの勝者となるルールです。

それが2019年に全仏オープンは例年通りでしたが、全豪オープンファイナルセットは10ポイントタイブレークに変更になりました。

そしてウィンブルドンは「最終セットでゲームカウントが12-12となった際にはタイブレークで決着をつける新ルール」の採用を決定しました。

全豪オープンよりは大変なルールではありますが、以前の長時間マッチを避けられるという点では良いルール改正だと思います。

ウィンブルドン(全英オープン)の過去の長時間マッチ

ルールが2019年から変更になったので、今後は長時間マッチになることはほとんどありませんが、最終セットに2ゲーム差をつけないと勝利にならないアドバンテージセットは本当に過酷です。

2010年のウィンブルドン1回戦で、ジョン・イズナー(米国)とニコラ・マユ(フランス)の試合は6-4、3-6、6-7、7-6と2セットずつ取り合いましたが、最終の第5セットはなんと7068と決着がつくのに3日間かかりました。

  • 試合時間が合計で11時間5分
  • ゲーム数の合計が183ゲーム
  • 第5セットだけで138ゲーム8時間11分

とすべて記録を更新しました。

しかも敗れたニコラ・マユはダブルスもエントリーしていたため、最長試合を記録した3時間後にダブルスの試合に出るハメに。

日没直前で第1セット後に中断するのはわかっていて、しかもマユは立っているのがやっとという状態にもかかわらず、主催者側は強行して、マユペアは結局敗れてしまいました。(対戦相手が英国ペアだから強行したのでは?というウワサもありましたが)

グランドスラムは単に参加人数が多いのではなく気力、体力共に充実していないと勝ち進むのが困難な大会です。そして2018年大会ジョン・イズナーがまたも長時間マッチを行いました。

準決勝のケビン・アンダーソン(南アフリカ)との対戦で最終第5セットが24-26となり、イズナーは敗れてしまいましたが、試合時間の6時間36分はウィンブルドン史上2位の記録だけでなく、グランドスラム大会の中でも2番目の記録でした。

2人とも長身でサーブが得意ですが、ビッグサーバー同士の試合はブレークができずに長い時間がかかってしまいます。

次の準決勝のジョコビッチナダルの試合はセンターコートなので日没サスペンデッドはないのですが、近隣に迷惑がかからないようにと午後11時までしか試合ができなかったため、翌日に順延となりました。

このような試合をしていると選手だけでなく、次の試合の選手や観客にも影響があるということで2019年からルールが見直されました。最終セット12-12からのタイブレークも長い感じはしますが、少しでも改善されたことを良しとしましょう。

まとめ

以前は全仏オープンとウィンブルドンとの間は2週間しかありませんでしたが、2015年からは3週間以上の期間を置いて開催されます。

過酷なグランドスラムの全仏で上位に残った選手にとっては1週間以上以前よりも期間が空くのは有難いですね。

錦織選手も2018年にようやくベスト8に進出しましたが、それまではなかなかウィンブルドンでは結果が出ませんでした。今年はケガで出遅れていますが、なんとかウィンブルドンで復活してほしいです。

私はウィンブルドンの時期が一番わくわくします。放送が日本時間の深夜ですが、日本人選手の活躍やトッププレイヤーの素晴らしいプレイを堪能しましょう!