「おかめ納豆」などに使われている「おかめ」と「オタフクお好みソース」などに使われている「おたふく」はとても似ていますが、その違いはわかりますか?
二人は同じ人だと思っている人も多いようですが、実は別の女性なのです。
今回は「おかめとおたふくの違い」について詳しく紹介します。
パッケージにおかめとおたふくを使用している理由
おかめ納豆を販売しているタカノフーズによると、納豆におかめを使用しているのは、
「皆様の豊で健康的な食生活のお役に立てれば」
「おかめは昔から幸せの象徴」
といった理由からだそうです。
一方オタフクお好みソースをを販売しているオタフクソースによると、ソースにおたふくを使用しているのは、
「おたふくは漢字で書くとお多福となり、喜びや幸せを広める=福を広める幸せのシンボル」
という理由だそうです。
- おかめ:幸せの象徴
- おたふく:幸せのシンボル
と象徴=シンボルですから同じ意味ですね。
その他でも
- 夫婦円満
- 子孫繁栄
- 商売繫盛
という意味がどちらにもあります。
見た目も意味も似ているですが、それぞれモデルになった女性は違います。
そして「おかめ」も「おたふく」もそれぞれ波乱万丈の人生を歩んだ結果「幸せの象徴」となっています。
おかめが幸せの象徴になった理由は?
おかめのモデルがいたのは鎌倉時代と言われています。
鎌倉時代初期に、「長井飛騨守高次(ながいひだのかみたかつぐ)」という名大工がいました。
そんな高次に大きな仕事の依頼がありました。
その仕事とはおよそ800年前に創建された京都最古の木造建築である国宝「千本釈迦堂」の建設でした。
高次にとっては一世一代の大仕事です。
ですが変えのきかない支柱の4本のうちの1本を短く切ってしまったのです。
支柱となる大木はもう用意ができなく、高次はどうすれば良いかわからず三日三晩悩みに悩んで、どんどんやつれていきました。
するとその様子を見かねた妻が、
「旦那様私に妙案がございます。短く切った柱に合わせ、他の3本も短く切ってはいかがでしょうか?」
と助言しました。
ただ「三日三晩悩んだ名大工の高次はこんな案も出なかったの?」と思いますよね~。
普通なら真っ先に考えそうですが。
ですが、妻の案を聞いて高次は「なるほど、その手があったか!」と喜びました。
高次に助言して、その窮地を救った妻こそが「阿亀(おかめ)」だったのです。
そしておかめの助言通りに3本の支柱を短く切りそろえた高次は、みごと本堂を完成させました。
ですが大仕事をなしとげて安堵の高次にとんでもない事件が起こります。
阿亀さんが自殺をしてしまうのです。
鎌倉時代は「女性が男性の仕事に口を出す」のは言語道断でした。
しかも一世一代の大仕事に妻が助言したことを他人に知られたら「夫の恥」と考えたおかめは、全てを秘密にしようと自らの命を絶ってしまったのです。
つまり「おかめは夫の名誉を命をかけて守った究極の内助の功」だったのです。
そして高次はおかめに似せたお面を作って千本釈迦堂の本堂に飾り、おかめの冥福を祈ったと言われています。
そしておかめは究極の内助の功として世間に知れ渡りました。
さらに高次とおかめは理想の夫婦像である「夫婦円満の守り神」として広まり、やがて「幸福の象徴」になっていったのです。
そして現在千本釈迦堂の境内にはおかめを祀った「おかめ塚」が創られています。
では一方、おたふくのモデルになったのはどんな女性なのでしょうか?
おたふくが幸せの象徴になった理由は?
おたふくのモデルは江戸時代に京都にいたお福という女性です。
彼女はとても貧しい家に生まれ育ったのですが、実はお福にある幸せな出来事が起こったことで幸福の象徴となりました。
ある日京都の街を歩いていたお福は、偶然すれ違った男性に声を掛けられます。
実はその男性は福助人形で有名な「叶福助(かのうふくすけ)」でした。
※叶福助は江戸時代に呉服屋を営んでいた主人で、一代で巨万の財をなした京都の大金持ち
そこで突然、福助は「あなたに一目ぼれしました、私と結婚してください。」とお福に伝えると、
お福は「はい。お引き受けいたします。」とその場で返事をしました。
そしてお福は大金持ちの福助と結婚し、貧しい生活から一転、生涯幸せに暮らしたのです。
つまりお福は究極の玉の輿に乗った女性なのです。
※諸説あります
このお福のシンデレラストーリーが世間でも評判になり、
お福にたくさんの福が訪れたということから「お多福(おたふく)」と呼ばれるようになりました。
だから現在でもおたふく人形と福助人形は縁起物としてペアで飾られることが多いのです。
このようにおかめとおたふくは全く別の女性の話なのですが、偶然にもどちらもふくよかな顔の女性で幸せの象徴でもあったことから、次第に二人は混同されるようになっていったのです。
まとめ
おかめのモデルになったのは、
夫の名誉を命と引き換えに守った女性
おたふくのモデルになったのは、
究極の玉の輿に乗った女性という違いがあります。
見た目が似ているのでおかめかおたふくで迷うのは仕方がないのですが、別の女性であると理解しましょう。
ただ二人とも「幸福の象徴」ですから、間違えたとしても、どちらも縁起が良いので、その点は心配ないですね。
おかめの話がとても悲しい話で現代では全く考えられませんでしたが、こんな時代があったのですね。
くれぐれも男性は鬼嫁ではなく、おかめのような女性を男性は見つけてくださいね。(私は失敗しましたが)
そして女性は福助のような男性と結ばれてください。